(2025年3月14日 財団主催 「白熱教室 in 南山女子」より)
美馬 のゆり(みま のゆり)さん
公立はこだて未来大学 システム情報科学部教授
東京大学大学院情報学環 客員教授
ai EDU JAPAN
全国各地でAIを研究する現役大学生・大学院生・教員が立ち上げたにAIリテラシー向上を目指す団体。対話型のワークショップにより参加者同士でAIについて考えるワークショップを提供中

元祖リケジョと「学び足し」の人生
美馬先生は2021年に「理系女子(リケジョ)的生き方のすすめ」という本を出版され、世の中に「「リケジョ」ブームを引き起こしました。先生自身も開催校と同じカトリック系の私立の中高一貫女子校出身で、当時まだ珍しかったコンピューターを学びたいと電気通信大に進学されました。その後、外資系就職→留学(ハーバード大)→就職→大学院(東京大学)→大学設立→ と華麗なキャリアを築いていらっしゃるように見えますが、見えない部分での我慢や中断もあったと言います。それでも「チャンスがきたらそれに乗る」「足りないと思ったら学び足す」の精神で、情報化社会を見続け、現在、AIがもたらす社会的変化とその教育について、日本を代表する研究者でいらっしゃいます。
現役大学生・大学院生と共に

ai EDU JAPAN は これからのAI時代を生きていくためには、それをよく知り付き合い方を学ぶことが必要だと考えた大学生・大学院生たちがAIとの米国の非営利組織aiEDU(エーアイエデュ)と提携を結びその教材を参考にしながら日本でのAIリテラシー教育をワークショップ形式で行っています。
今回ははこだて未来大学や東京理科大、東京科学大などから10名の大学生・大学院生にお越しいただき、美馬先生のレクチャーの後、各教室に分かれてワークショップをしていただきました。さまざまな分野で活躍されている大学(院)生活を垣間見ることもできて、進路を考えている生徒たちによい刺激になりました。
自分の意見を伝えながら考えるグループワーク

今回のお題は3つ
「ある学校の生徒の8割がChat- GPTが示した間違った情報で回答していました。こうした問題に対してあなたならどう対応しますか?」
「数学の問題がAIを解いてくれるようになったら、どんな利益やリスクがあるでしょうか」
「あなたは政府の責任者です。価格が適正であれば人間の労働をAIに置き換えることを防ぐべきでしょうか? なぜそう思いますか?」
4名程度のグループになり、まず自分一人で考える時間を取ります。その後、お互いの意見を付箋に書いて並べたりしながら他の人の意見を聞いて、それぞれのグループがまとめの意見として発表します。議論が進まない時は ai EDU さんが助けてくださいますが、その必要もないほど盛り上がっているグループがたくさんありました。
最後に – 今、私たちはどうすればいいのか –

グループディスカッションから戻り、大教室でそれぞれのグループの意見を発表しました。今回は南山女子部の生徒だけでなく、男子部や保護者のグループもあったので、違う立場の意見を聞く貴重な機会にもなりました。
美馬先生からはグループ発表の総括や、今年2月に行われた最新のOECD会議の知見なども伺い、参加者一同、「もう後戻りはできない、安全性や倫理性などを同時進行で考えなくてはならない」という言葉に深く頷きました。
その後の質疑応答も活発に行われ、「多様な意見を共有できて新たな視点を得られた」「これからAIとの付き合い方を自分で考えてていかなくてはと思った」という感想が多くよせられ、正解のない問いを考えるよい機会になったと思います。

希望者で記念撮影 ☺